2012年1月21日土曜日

利益より売り上げ③

特集を読んでいくと、グローバル競争を展開する大企業を想定した話になっています。

ドラッカー理論で考えて納得のいく部分を上げますと


1、コスト管理はコスト削減ではなく成果の最大化であるという視点が入っている

コスト削減は未来の競争力を失う可能性につながります。最も重要な商品サービスのボリュームを増やす、つまり投入資源に対する成果の最大化を目指すことが大事であるということです。


2、EVA(経済的付加価値)の否定

これは要するに短期における成果とコストの差額を大きくする視点ですので、先行投資という考え方を重視しろというは話です。
「戦略とは現在と将来のバランスをとることである」というドラッカーの視点からすると直近の利益の犠牲をどのように行うかは重要です。
先行投資なくして将来の利益はありません。


ということで、ドラッカー的な観点からするとしっくりきそうな気がします。

しかし、ポーター的に考えるとまだよくわかりません。

1、ニッチではなくナンバーワンを目指すべき

これですとポーターの言うパフォーマンスエクセレンスの追求という泥沼の戦いになるような気がします。
ニッチという概念の定義の仕方の問題のような気もしますが、誤解も生じそうです。


2、国内市場が縮小しているのだからグローバルに戦え、それには売り上げ重視だ。

企業の強みを生み出すのが産業集積(クラスター)であるとすると、海外展開は中長期的には国内を弱体化させる気もしますが、この点、まだ私も整理がついていません。



特集を総括すると、いろいろな前提仮説が入っているようで、結論としては安直な気もします。

前向きに受け取るとするならば「昔の勝ちパターンを思い出して、現代風に生き返らせろ」といったことでしょうか。


(浅沼 宏和)

利益より売り上げ②

続きです。


利益偏重経営の4つのウソ


ウソ① 利益確保こそ企業存続の条件 →ホント:縮小に均衡なし、衰退の始まり

事業が伸び悩む企業は縮小均衡に走りがち。単なるコスト削減や他社の物まねでは新規事業を展開する余裕もなく、新たな市場開拓もままならない。これでは均衡どころか衰退の一途。


ウソ② ニッチ市場を狙え →ホント:ニッチ市場こそ優勝劣敗の厳しい市場

ニッチ市場でトップシェアを狙えるのは優れた中核技術を持つ企業に限られる。市場がニッチであるほど負けると危険。「優れた技術でオンリーワン企業」というのは結果論だ。やはり目指すはナンバーワン。


ウソ③ 高付加価値が利益の源泉 →ホント:高付加価値だけではもうからない

海外市場では「高機能」「品質重視」だけではビジネスの規模は限られる。富裕層ではなくボリュームゾーンを狙うのがよい。


ウソ④ 海外市場は利益重視 →ホント:成長市場ではシェアを優先

特に成長を見込める新興市場ではまず売り上げ確保にまい進するのがグローバル企業だ。




(浅沼 宏和)

2012年1月20日金曜日

利益より売り上げ①

日経ビジネス2012.1.23号に興味深い特集がありました。

利益より売り上げ -さらば縮小均衡路線-

です。

もし、そのとおりであるならば、ドラッカーのニッチ戦略の考え方やポーターのポジショニング理論とも関係してきますので、私としては一定の整理が必要になります。

ということで、まずは日経ビジネスの特集の趣旨をまとめて、その後、検討を加えていきたいと思います。


・利益なくして企業の存続はない。だが、極端な利益優先の先に未来はないのでは?


・かつて「売上高至上主義」は日本企業の強さの源泉だった。売り上げ増とは消費者の支持の表れであり、新たな雇用を生み出す原動力。


・日本全体に漂う利益偏重。小さくまとまるムードを変える時が来た、今あえて利益よりも売り上げ重視を提言する。




・有名企業を分析すると過去5年間の累積営業利益は増収重視型(売り上げ重視)のほうが増益重視型よりも多い。


・売り上げ重視、シェア重視の経営にかじを切ることは、必死でコスト削減に取り組む日本企業に有効だ。


・目先の利益より売り上げを伸ばすことに力を入れるべき。


・持続的利益を得るために最も重要なことはトップラインを伸ばすこと。コスト削減は手を付けやすいがそれで利益率アップしても限度がある。


・国内企業は国内市場での順位ではなく、世界市場でシェア上位を目指すという気概と具体的方策が必要だ。(A.T.カーニー日本代表・梅沢氏)


・シェア拡大といった成長路線をあきらめ、短期的な利益確保に走る国内企業が増えているのは、海外勢との厳しい競争に打ち勝つための具体策が見えないという事情がある。


・マーケットの目も気になる。


・多くの企業が系絵指標として取り入れたEVA(経済的付加価値)が短期志向を生んだ。必要な先行投資が実施されていない企業は少なくない。

・利益を最大化するためにはボリュームを増やさないといけない。国内が低迷しているので、海外市場で規模を拡大するしかない。

・1960年代、米国企業の多くが利益率重視で、日本企業は売り上げ・シェア重視だった。米国企業は「三流の手法」とみていたが、その後日本企業は急成長した。

・先進国経済の不振と新興国経済の勃興というパラダイムシフトが起きつつある今、利益を優先するよりまず売り上げやシェアの拡大を追求すべき時代になった。



つづく



(浅沼 宏和)

イノベーションには10年以上かかる

先週、マイケル・ポーターの入門書の原稿ができあがりました。
こうした大物をまとめようとするとわが身の力量の乏しさを実感します。


ポーターを半年以上読み込んでいて気が付くのは、ドラッカーに似ている部分が多いということです。

最近、特に気に留めているのはイノベーションにかかる年数がどちらも10年以上ととらえていることです。

原則: イノベーションには10年かかる

ドラッカーは現在のビジネスで成果を上げることを「マーケティング」 将来に成果を上げる取り組みを「イノベーション」と考えているようです。

そして、このイノベーションのためには10年単位の時間が必要といっています。

マイケル・ポーターは、競争優位は戦略的ポジションを確立することによって得られる。

そして、その戦略的ポジションはさまざまな活動が組み合わさったシステム(活動システム)によって生み出されると主張しています。

強力な活動システムの構築には試行錯誤が必要であり、したがってイノベーションには長期間が必要であるといっています。

その期間が10年です。

私はポーターはかなりドラッカーを意識しているような気がしています。

いずれにしても10年計画で行うものがイノベーションであり、その間、さまざまな打ち手は実行しなければなりませんが、大筋の方向性でぶれてはいけないということです。


変化への対応と称して右往左往することはどちらも厳に戒めています。


(浅沼 宏和)

行動の意味-意識的かどうかがポイント

マネジメントの意味の補足です。

私の考えるマネジメントの定義は

外に向けて最大限の良い影響をもたらすように頭と体を意識的に使うこと


です。

頭と体を意識的に使うことが「行動する」ということです。

ここでポイントになるのが「意識的」という部分です。

無意識に行っていることは行動ではなく「動作」と考えます。

もちろん、ある成果を目指して確立された動作が必要である局面は多いでしょう。

しかし、その動作が目的意識を持って行われていないのであれば、それは惰性であって行動とは言えないものと考えます。


(浅沼  宏和)

マネジメントの定義

最近、ドラッカーセミナーをやる回数が多くなりました。
出だしは「マネジメントとは何か」なので、年初に当たり改めて定義してみたいと思います。

まず、マネジメントとは「経営する」ことではないということです。

「経営する」では具体的な行動に結びつきません。

マネジメントはもっと広い意味でとらえる必要があります。


私がドラッカーを読み込んで行った定義は

マネジメントとは「最大の成果をめざして行動する」ことです


さらに詳しくすると

成果とは 外に向かってプラスの影響を与えること

行動するとは 意識的に頭と体を使うこと

です。

つまり、改めて定義しますと

外に向けて最大限良い影響を与えるように、意識的に頭と体を使うこと

です。


とすると、「あなたが昨日あげた成果は何ですか?」と答えられない場合には、この定義からすると「意識的に」という部分が欠けているということになります。



(浅沼 宏和)

2012年1月12日木曜日

時間は最も強力な指標

ドラッカーは「まず時間から始めよ」という名言を残しています。

マネジメントは成果をあげる取り組みのことですが、現代社会では成果をあげるプロセスの「見える化」が困難です。

唯一見えるのが時間なのでここから始めるということです。

ポーターのマネジメント論は、科学的管理法の創始者であるテイラーを元にしています。

ですから当然時間重視です。


一人が年間に働く時間は普通の企業で2300~2500時間です。

これが成果の上限を定める制約です。

これより多い企業は、長時間労働による「間のび」が問題になりますし、逆に少ない場合は成果への意識の高さが問題になります。

製造業は、テイラー理論に近い業種なので結構できていますが、サービス業は緩いですね。

国際的にもそのようにいわれているようですが。



(浅沼宏和)

2012年1月8日日曜日

コメダ珈琲の提供価値は意外にわかりにくい

名古屋を中心としたチェーンの珈琲店であるコメダ珈琲の業績がよいということです。

ここ数年、浜松でも目にするようになったのでコメダの強みには関心を持ってきました。

ドラッカー流に言うならば

  1. 顧客は誰か?
  2. どんな価値を提供するのか?
  3. どうやって売り込むか?

について、漠然とはわかるのですがハッキリと言葉にするのが意外と難しいモデルと感じていました。

とあるコンサルタントは次の二点をあげています。

-地域の特色に合わせた長居戦略をとっている


-顧客満足を高めていく、商品戦略~店舗の内装やメニュー

もっと砕けた表現にした方がしっくりきそうな気がします。
ちなみに面白い分析がのっているサイトをご紹介します。


このように砕けた経営分析こそが役に立つと思うのですがどうでしょう。

(浅沼 宏和)

2012年1月7日土曜日

ポーターのダイヤモンド理論で今の日本を考える

現在、マイケル・ポーターの入門書を執筆中のため、ここ半年ほどはポーターの著作の精読に明け暮れています。

ポーターの競争戦略論は、業界への関心に始まって、「業界」⇒「活動」⇒「立地」⇒「社会」へとその重点を移しながら発展してきました。

その立地にかかわるフレームワークがいわゆるダイヤモンド理論です。

ダイヤモンド理論とは簡単に言うと、ある国の競争優位をささえる4つの重要な条件に注目することです。

4つの点を結ぶとダイヤモンドのように見えるのでそのように呼ばれています。

その4条件とは

1、要素条件‥ヒト・モノ・カネや物流・科学技術等のインフラ。質と専門性の高さがポイント
2、需要条件‥国内需要の質と量。特に高レベルの要求をする顧客がポイント
3、関連産業・支援産業‥周辺の産業のレベルの高さがポイント
4、企業戦略・競争‥お国柄に合った経営スタイルがポイント。

です。

日本の場合、

1、資源の少なさを克服しようと頑張ってイノベーションを起こした
2、世界一要求水準の高い消費者
3、すそ野の広くレベルも高い下請け企業群の結束
4、「日本式経営」と呼ばれる独自の経営スタイル

がピタリとかみ合った高度経済成長期に一気に先進国に登りつめました。

しかし、現在、これらのすべてが崩れつつあります。

1、ハングリーさを失ないつつある労働者
2、ガラパゴス化しつつあニーズ
3、急速な海外シフトによる下請け企業群の解体
4、時代の変化への経営スタイルは経営環境の不対応

とまとめることができると思います。

こうして論点を具体的にして取り組むのが政治の役割であり、企業が行うべき貢献でしょう。


(浅沼 宏和)

2012年1月5日木曜日

ハーバード大生の時間についての教訓

ハーバード大生の時間意識の高さがあまりにすばらしいので転載させていただきました。
右は朝の4時の図書館の風景だそうです。

下記の項目はその図書館の壁に貼ってあるそうです。





⒈今、居眠りすれば、あなたは夢をみる。今学習すれば、あなたは夢が叶う。


⒉あなたが無駄にした今日はどれだけの人が願っても叶わなかった未来である。

⒊勉強に励む苦しさは今だけであり、勉強しなかった苦しさは一生続く。


⒋学習は時間がないからできないものではなく、努力を欠くからできないものである。


⒌時間は絶えず去りつつある。

⒍勉強する時間が足りないことは決してない。努力が足りないだけである。

7.幸福には順位はないが、成功には順位がある。 


8.学習は人生の全てではないが、人生の一部として続くものである。


9.学習する事が人生の全てとは言わないが、学習すらできぬ者に何ができるのであろうか。


10.人より早く起き、人より努力して、初めて成功の味を真に噛みしめる事ができる。

11.怠惰な人が成功する事は決してない、真に成功を収める者は徹底した自己管理と忍耐力が必須である。

12.時間が過ぎるのはとてもはやい。


13.今の涎(よだれ)は将来の涙となる。


14.犬の様に学び、紳士の様に遊べ。 


15.今日歩けば、明日は走るしかない。


16.一番現実的な人は、自分の未来に投資する。 ‎

17.教育の優劣が収入の優劣 ‎。


18.過ぎ去った今日は二度と帰ってこない。

‎19.今この瞬間も相手は読書をして力を身につけている。 ‎


20.努力無しに結果無し。


出所はコチラ⇒ http://product-empresario.blogspot.com/2012/01/blog-post.html




(浅沼 宏和)