ドイツが誇る世界的光学機器メーカーのカールツアイス社の社長インタビューが日経ビジネス2011.12.12号に掲載されていました。
同社はドラッカーの『マネジメント』において働くこと(working)をうまくマネジメントした企業事例として紹介されています。
『マネジメント』は1973年の本ですし、紹介された内容は同社の19世紀末の成功事例です。
ということで、その続編ともなるべき内容と思いますので紹介します。
同社は上場しておらず、財団所有という珍しい法形式の巨大企業という特徴もあります。
・オリンパスの技術力はすばらしく、以前からベンチマークしていたが同社を買い取る可能性はない。
・カールツアイスは非公開企業であり、資本が潤沢にあるわけではない。だから、内部からの成長に注力してきた。これこそが強みだ。
・財団であることで四半期ごとに市場からプレッシャーを受けることがない。長期的なイノベーション計画が立てられる。
・医療やレンズなどは高度な技術が必要なので長期的視点に立つことは不可欠だ。
・非上場であるため資金調達は難しいので財務的健全性により一層気を使う。
ドラッカーが成功事例として取り上げた100年前とは色々変わっているところもあるのでしょうが、DNAがよく残されているという感じがします。
以下、ドラッカーの著作でのカールツアイスの働き方のマネジメントの部分を簡単にまとめておきます。
・仕事に必要なプロセスを分析し、それを全体にまとめ上げることで成果をあげた。
・職務の編成は実際に働いている人たち自身が行った。
・機械や工具などを働く人たち自身が設計・改良した。
・継続的訓練の導入、作業方法の改善、新製品開発、工程や技術の改良は当然行われるべきものとされた。
・製品や仕事について働く人たちに情報をフィードバックした。
・正式な雇用保証はないが、成果をあげる意欲と学ぶ姿勢があれば景気とは無関係に雇用を保証した。
カールツアイスのマネジメントはうわべの合理性よりは本質的なものを追求する伝統があるようです。
(浅沼 宏和)