2011年10月26日水曜日

閑話休題-『捨てる』名言集

当社では環境整備のコンセプトとして2S直角平行を提唱しています。

整理(S)‥徹底的に捨てる
清掃(S)‥ヨゴレ・ホコリをとり、隅々まできれいに
直角平行‥目につくものをすべてそろえる


これを徹底するだけで美観のレベルは断然違ってきます。

また、あらゆるところに目が入るので、リスク管理にもとても役立ちます。

整理・整頓ではないところがミソです。

整理について名言集を集めてみました。


・「あれば便利」「使えるか?」ではなくて、「使っているか?」で判断

すべてを捨てたら未来だけが残る

・思い出の品を捨てても思い出は消えない

・時は金なり、場所も金なり

・捨てる勇気が価値観を研ぎ澄まし、本当に大切なものを導き出す

があるから「福」が来ない があるから「神」が来ない


なかなかの名言ぞろいです。


(浅沼宏和)

2011年10月20日木曜日

閑話休題-うれしいお便り

最近、あちこちでセミナー講師を務める機会が増えました。

セミナーの後には名刺交換を求めに来られる方、疑問に感じたことをお尋ねに来られる方、自社の悩みについて相談を持ちかけられる方、社員研修を依頼される方など様々です。

たまに礼状などをいただくこともあり、中身を読むと勇気づけられたり、またさらに頑張らなくてはと決意を新たにしたりします。

そこで、ある女性経営者からの礼状の一部をご紹介します。


前略、浅沼先生、昨夜は○○で先生の素晴らしいお話をうかがうことができ、とても有意義でした。ありがとうございました。

本を読んだり、時にはセミナーにも足を運びますが、先生のお話はとても明確でわかりやすかったです。とっても得をした気分になりました。

お名刺を頂戴しなかったことを後悔しましたが、ネットで調べ、昨夜のお礼をと筆をとりました。



この方とは名刺の交換をしていないので、お顔は解りませんが、私はこれを目標達成の客観的証拠ととらえるようにしています。

経営セミナー講師の成果は、

①期待した以上の内容であった
②実際に役立つ内容であった
③また是非違ったテーマや詳しい話を聞きたいと思った

といったことになると思います。

私の場合、アンケートなどを実施する際には「よかった」「まあまあよかった」といった評価が80%を超えることを具体的な目標にしています。

また、セミナー後に名刺交換を求められる、質問されることも重視しています。

今のところ、なにもないということがありませんので比較的うまくいっていると思いますが、理想からは程遠いレベルのものであると自覚しています。

こうしたうれしいお便りを励みにして、さらなるレベルアップを図っていきたいと思います。



(浅沼 宏和)

2011年10月18日火曜日

日経ビジネス-選ばざる者は滅びる

日経ビジネス2011.10.17号の特集「選ばざる者は滅びる」に面白い内容がありました。

グローバル競争に勝つであろう企業の紹介なのですが、戦略のタイプ別に解説してあります。

戦略のタイプとは

世界覇権型、大衆攻略型、価値創出型、地域制圧型、要衝掌握型、変幻自在型、技術進化型、人材競争力型、M&A突破型

です。


1、世界覇権型

ブランド・価格・中核技術‥「強み」を「最強」にする徹底力がある。世界市場でリーダーポジションを獲得している。

・「価値創造」を基盤に「地域制圧」を行う
・市場ごとに強みを変える

2、大衆攻略型

大衆の生活に密着し、低価格を武器に設ける。新興国市場のボリュームゾーンで強力なポジションを獲得する。

・したたかなそろばん勘定
・現場に権限移譲
・高コスト開発体制から低コスト開発体制へ
・日本国内の商慣習を打破⇒土着民になる
・1人でも需要を掘り起こす
・新たな市場を創出


3、価値創出型

「ニッポン品質」を武器にブランド力を高める。世界市場で強いプレミアムブランドを展開する。

・品質‥アフタサービスを含めた質の確保で好意的イメージを確立
・認知度‥消費者や流通業者に対する知名度を高め、購入の選択肢に入れる
・忠誠心‥顧客が自らその製品を購入する状態を作り出す

4、地域制圧型

経営資源の集中投下で地域最強を目指す。広域アジア市場など特定地域でリーダーポジションを獲得している。

・拠点膨張方式‥一つの拠点を中心に、文化・習慣の近い周辺国を攻める
・地域延伸方式‥都心部をまず攻略し、経済発展とともに地方都市へ市場を拡大する
・買収浸透方式‥地域に根付く企業や販路を持つ企業を買収し、自社の製品・サービスを浸透させる

5、要衝掌握型

競合との価格競争から取引先との価値「協創」へ。特定の素材・部品、バリューチェーンにおける特定レイヤーを世界規模で占拠する。

・3パターン
 ①バリューチェーンの一部を占拠する
 ②新しいチェーンを創造する
 ③自ら需要を作り出す

6、変幻自在型

種まき・撤退・集中投資で「一番強い自分」を維持する。事業ポートフォリオマネジメントに優れ、成長領域へのポートフォリオ・シフトを継続的に実施している。

・事業の輪作
 ①有望な事業に集中投資し、収益源に育てる
 ②収益事業から得た資金を新事業に幅広く投資し、可能性を探る
 ③成長する見込みのない事業を見極めて、投資を止める


また、別の面からの分類として


Ⅰ、技術進化型

技術至上主義から価値へ。卓越した技術を磨き続けることで競争力を得る。

Ⅱ、人材競争力型

人材の力や多様性を武器に競争に勝つ。世界選抜チームを組み、脱「日本人の会社」を創る

Ⅲ、M&A突破型

世界への近道として時間と手間を買う。


なかなか興味深い分類です。

大本には競争戦略論があるようですが。



(浅沼 宏和)

2011年10月17日月曜日

◆『ナイン・センス -9つの思考空間』を刊行

私が所属している地元密着型のNPO法人東海マネジメント研究会から念願の論文集が刊行されました。

自主的な勉強会を立ち上げてから7年目、法人化してから4年目でやっと一区切りをつけることができました。


NPO東海マネジメント研究会編著『ナイン・センス -九つの思考空間-』静岡学術出版、2011年  定価:1,000円 

目次
第1部 マネジメント編

1、「ドラッカーのマネジメント論の実践構造 -基本モデルから戦略計画まで-」 浅沼宏和

2、「ダイナミックBSCの試み -気づきを起点にイノベーションを生み出す」 村木則予

3、「人事システムとしての飲酒運転の取締り」 神村秀和

4、「ISOマネジメントシステム規格運用時の“つまづき”への話題提供 -ISMSを参考事例に-」 伊藤 賢

5、「デザインによる組織の発展」 藤田良美


第2部 地域産業編

6、「鉄工所からみる浜松産業史 -バッタンからポンポンへ-」 藤田泰正

7、「浜松地域における繊維産業の発展と衰退」 渡部いづみ

8、「金融危機と企業経営」 伊藤 博

9、「中堅中小企業にみる事業永続の型 -沢根スプリングの事例を中心に-」 杉山友城



(浅沼 宏和)

2011年10月14日金曜日

続・『経営者の条件』④ ゲリラ戦では

第1章です。


・知力や想像力や知識は、あくまでも基礎的な資質である。それらの資質を結果に結びつけるには、成果をあげるための能力が必要である。

この原語は次の通りです。

Intelligence, imagination, and knowledge are essential resources, but only effectiveness converts them into results.

私なら、

知性、想像力、知識は基礎的な資質であるが、唯一、実践だけがそれらを成果に変える

とします。


・知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。



次はゲリラ戦についての部分です。

・実際にどうするかは状況次第である。その状況は彼らにしか判断できない。責任は私にある。だが、どうするかを決められるのはその場にいる者だけだ。


原語は、

What they do depends on the situation which only they can judge. The responsibility is always mine,  but the decision lies with whoever is on the spot.

です。

私は次のように考えます。

彼らが何をするかは彼らだけしか判断できない状況に依存する。責任は私にあるが、決定はまさにその場にいる者に依存している。


ということで次のようにまとまるわけです。

・ゲリラ戦では全員がエグゼクティブである。


・知識労働は量によって規定されるものではない。コストによっても規定されるものでもない。成果によって規定されるものである。


(浅沼宏和)

2011年10月13日木曜日

続・『経営者の条件』③  ものごとをなす

第1章のまとめです。ポイントになる文を原語と対応させたりしていきます。


・成果をあげることがエグゼクティブの仕事である。成果をあげるということは、物事をなすということである。


とありますが、原語は

To be effective is the job of the executive. "To effect" and "To execute" are, after all, near-synonyms.

です。私なら

実践的であることがエグゼクティブの仕事である。「実践的」と「実行する」とは、結局、同義なのである。

と訳します。私の訳はビジネスの現場で使うための理解しやすさという観点から行っています。



・頭の良い者がしばしばあきれるほど成果をあげられない。彼らは頭の良さがそのまま成果に結び付くわけではないことを知らない。

この後半部分の原語は

they fail to realize that the brillant insights is not by itself achivement.

ですので、私なら 

彼らはきらめくような洞察がそのまま成果となるわけではないことを理解しそこなっている

と訳すところです。

2011年10月11日火曜日

続・『経営者の条件』②

序章を中心にまとめています。


・成果をあげるには、アクションプランを理解してもらい、情報ニーズを理解してもらわなければならない。


ドラッカーのコミュニケーション論の本質を表すことばです。


・問題の処理では、それがいかに重大なものであろうとも、成果がもたらされるわけではない。損害を防ぐだけである。成果は機会から生まれる。


ここから仕事の優先順位として、「緊急ではないが重要なもの」が上位にくることが導かれます。

「緊急かつ重要なもの」は問題ないし、過去の意思決定が現状に合わなくなることによって生じるものだからです。

・一流の人材に、問題ではなく機会を担当させなければならない。


・成果をあげるには会議の生産性をあげなければならない。もちろん会議は懇談の場ではなく仕事の場としなければならない。

会議についてのビジネス書の走りはドラッカーです。


・トップが権威をもちうるのは、自らのニーズと機会ではなく、組織のニーズと機会を考えるからである。

・成果をあげることは習慣である。

 
この部分は、原語が  Effectiveness is a discipline.   となっています。

私なら 実践とは規律である と訳します。

原語と対比しながら読んでいくと、イメージが違ってきます。

これからは原語を意識しながら検討していきたいと思います。


(浅沼 宏和)

続・『経営者の条件』①

今年の1月にドラッカーの『経営者の条件』をまとめたシリーズをブログにアップしました。

最近、改めて集中的な読み直しを行っていますので、当時とは違ったか所に目が留まるようになっています。

そこで、新たな視点から『経営者の条件』の要約を行おうと思います。以前のまとめと違った部分を選ぶようにしています。


・なされるべきことを考えることが成功の秘訣である。

・なされるべきことはほとんど常に複数ある。

・最優先順位を仕上げても、優先順位が二位だった課題を自動的に移行してはならない。最初から優先順位を考え直さなければならない。


・トップマネジメントが成果をあげれば組織が成果をあげ、トップマネジメントが成果をあげられなければ、組織も成果をあげられない。

・エグゼクティブとは行動する者であり、物事をなす者である。

・いかなる知識といえども行動に転化しない限り無用の存在である。


・アクションプランとは意図であって、絶対の約束ではない。

・一つ一つの成功が新しい機会をもたらし、一つ一つの失敗が新しい機会をもたらすゆえに、頻繁に修正していく。

・アクションプランは時間管理の基準として必要である。


・アクションプランなくしては、すべてがなりゆき任せとなる。途中でアクションプランをチェックすることなくしては、成り行き任せの中で意味あるものとないものとを見分けることすらできなくなる。


・意思決定はすべてそれを行うときと同じ慎重さで、定期的に見直さなければならない。

・重要な仕事をこなせない者をそのままにしておいてはならない。‥仕事ができないことは本人のせいではない。だが動かしてやらなければならない。

・意思決定の定期的な見直しは自己開発の手段となる。


・最高の人材を最高のポストに配置することは容易ではない。最高の人材は常に多忙だからである。

・自らの弱み、特にからっきし苦手なものも明らかにする。そのような分野では何もしてはならない。人に任せるべきである。


・意思決定の能力は、組織のいかなるレベルにおいても、致命的に重要なスキルである。





(浅沼 宏和)

2011年10月10日月曜日

書評-「すべては売るために」⑤

続きです。

・市場が混乱している時こそ、損益を明確に把握すること。

・金を使ったらそれ以上に稼がなければならない。


・混乱期の投資には大きな副産物がある。商品に新たな価値を付加できるのだ。

・「なくても生きていける」商品を売るためには消費者への語りかけをやめないことだ。厳しい状況で商品が売れたということは、商品の大きな価値を消費者に認めさせたということだ。

・新商品を世に出す理由はただ一つ。儲けるためだ。


・新商品導入が自己目的化したマーケティングは怠惰なマーケティングだ。新商品は新たなカテゴリーへの長期的参入を実現するときにのみ導入すべきだ。

・新商品にはこれまでのブランドではいけない場所に到達する力がある。


・新商品が既存商品とはまったく違う何かを成し遂げられるかどうかだ。同時に既存商品の競争力を維持することも忘れてはならない。


・新商品を導入するにしろ、既存商品を定義しなおすにしろ、あなたの仕事は利益をあげることであるのを忘れてはならない。


・売上をきそうのではなく利益を競うのがビジネスである。


・「今の地位を守ろう」「ブランドの衰退を食い止めねば」などという発想はさっさと捨てる。成長こそが唯一のゴールだ。


・チャンスのある場所を探すことだ。

・マーケティングはビジネスであり、商品を作れるか、売れるか、そして消費者が買えるかを常に考えなければならない。


・商品の売れ行きに影響するさまざまなものごとを常に観察し、分析を怠らなければ必ずや成功するだろう。

・明日何をするかを常に計画しておかなければならない。

・明日は違うことをしなければならない。どれほどの成功を収めていようと過去の栄光に満足してはいけない。


・明日のことを考え、計画を立てておかなければならない。これを怠ると明日が今日になったときになんの準備もなく、のみこまれてしまうだろう。


・未来に備えなければならないのは、ものごとが変化するからである。

・変化を創りだす側と変化に翻弄される側のどちらになりたいのだろうか。


・自分の定義を変えると、その影響は競争相手のポジショニングだけではなく、顧客や顧客とのかかわり方に及ぶ。

・うまくいっていることは維持すべきだ。ただし、今後もうまくいかせるためには何かを追加しなければならない。


・何かを変えるたびに、次の変化の条件を作り出すことを忘れないようにする。

・自らの行動を変えなければ目的地には到達できない。


・これまで必要だったスキルと、次のレベルに到達するために必要なスキルは必ずしも同じではない。

・昨日の成功に頼ってはいけない。


・私はいつもビジネスの状況は今日より明日が悪くなると想定している。そのうえで悪い状況を打開する計画を立てる。

・将来の成功を確実につかむには自分自身を向上させるしかない。自分のコンセプト、自分のブランド、自分のアイディアに挑戦し続けるのだ。


・カテゴリーのリーダーは進んで自分の定義を変えることによって成功する。


・将来の成功を目指すなら、自分のビジネスの運営だけではなく、競合他社に何をさせたいかも考えなければならない。


・マーケティングにおいて勢いを生むためには、常にあなたの方から動かなければならない。

・現在の目的地に向かって努力している間に、次の目的地について考え始めなければならない。


・翌年の計画はいつごろから立て始めるべきか?今すぐだ。


・変化を余儀なくされる前に自ら変われば競争相手が追いついたと思った時にはあなたはもう別の場所にいる。




(浅沼 宏和)

2011年10月9日日曜日

書評-「すべては売るために」④

続きです。

・仮想消費は必要ない。商品を気に入っても決して買わない人も必要ない。知っているのに全く関心を払わない人もだ。そうした消費者にはあなたも関心を払うべきではない。大切なのは貸そう消費ではなく売上なのだ。


・認知度はたしかに重要だが売上と利益がすべてなのだ。消費者に買う理由を提供しなければならない。

・消費者の抱くイメージに新たな「次元」を追加し、商品本来の誰にでもわかるセールスポイントを超えた購買理由を増やし続けること。

・コカコーラは35種類の属性(次元)を使って買うべき理由を訴えた。

・市場セグメント化で非常に有効な方法は、まず消費パターンを見てグループに分け、グループごとにイメージやブランドの次元を考えること。

・ホテル業界は、ヘビーユーザーが収益源であることを理解している。



・昔は、「コカ・コーラについて顧客は知っているのだから、他に伝えられることはない」と考えていた。すでにビジネスとして成熟していて成長の余地はあまりない、と。なんという思いちがいか!!


・商品を常に再定義し、リフレッシュするのは骨の折れる仕事だ。買いたくなる理由を前に朝から晩まで考え続けることになる。しかし、あきらめてはいけない。なんとしてでもやりぬかなければならない。


・誰かがあなたの商品サービスを理解し始めたら、あなたは見直しに着手すべきである。


・モノを売るには、買いたくなる理由、経験したくなる理由、学びたくなる理由、食べたくなる理由を新たに示し続けなければならない。


・消費者の観察を怠ってはならない。彼らを理解し、買う気にさせる方法を次々に考えださなければならない。ゴールはあくまでも商品を買ってもらうことだ。


・コンパージョン率(潜在顧客が実際に商品を買う顧客に転換する割合)を意識する。
小売業では来店者数と購買者数の割合、ファーストフードではハンバーガーなどのメイン商品(低利益率)と付け合わせのポテト・ドリンク(高利益率)の割合


・あなたが売るものを買ってもらう一番の方法は、単純に買ってほしいと頼むことだ。



(浅沼 宏和)

2011年10月8日土曜日

書評-「すべては売るために」③

続きです。



・消費者を十分観察し、観察した結果を考察しているマーケターは実に少ない。

・消費者こそがほぼ唯一の「考えるべきこと」なのだ。

・問題は誰が商品を買ってくれるかだ。何をするにも消費者を中心に据える。


・コモディティ化 -どこかの企業が画期的な商品を世に出しても、競合他社があっという間にマネをする。消費者の前には質に大差のない類似商品がズラリと並ぶことになる。


・誰も消費者に教えなければ消費者は選ばないか、理解できる唯一の基準、すなわち「価格」にしたがって選択する。

・顧客の主要な判断基準が価格になってしまうと、企業の収益性とビジネスの健全性はすぐに損なわれてしまう。


・昔はこれほど説明する必要はなかった。もともと選択肢が少なかったからだ。しかし、これからは消費者に買うべき理由を知らせなければならない。


・環境が変化すれば消費者も変わる。

・競合商品にできてあなたの商品にできないこと、逆に、あなたの商品にできて競合商品にできないことはあるだろうか。


・世界一マーケティングしやすく、一番高い値段で、一番大量に買う、最高の顧客になってくれるのはすでにあなたの商品サービスを使って、気に入ってくれている人たちである。
それなのにせっかくのお客を怒らせてしまっている。なんという無駄だろう。

・リピーターのために何かしている企業は少ない。

・今日売れることはほぼ決まっているのだから、店員は次回の販売に集中しなければならない。


・顧客との関係を築いていれば、商品が他のブランドの脅威にさらされても移行される可能性が低い。

・ブランドの認知度をあげてもまだ仕事の半分だ。まだ商品を買ってほしいと消費者に訴えていない。

・ブランドが好かれたからといって目的は達成されない。消費者は好きになったブランドを必ず買うとは限らないからだ。




(浅沼 宏和)

2011年10月7日金曜日

書評-「すべては売るために」②

続きです。

・あなたが戦略を持たなければ、競争相手があなたを追い落とすための戦略をつくる。
 あなたは守勢に立たされ、やむなく目的と結びつかない戦略にあわてて集中することになる。
 戦略はあなたが先に作らなければならない。


・価値があるのはうまくいっていることを分析し、それをもとにさらに成功することだ。


・マーケティングは月単位で行うのが望ましい。

・そもそもビジネスはなるべく短い時間単位で行うべきものだ。週単位なら完璧とは言わないまでも、価値ある情報が得られる。

・やることなすことで的確で正しい人などいない。

・未来へ進むには、状況は変化する(完璧な計画などない)という事実を受け入れ、学習と改善を繰り返していかなければならない。


・ブランドを創る理由は、消費者に商品の望ましい特質を伝えることにほかならない。

・なぜ、その商品が好きなのかを常に顧客に思い出させ、買う理由を与え続けなければならない。毎日買ってほしければ毎日マーケティングしなければならない。毎月買ってほしければ毎月マーケティングをしなければならない。


・ブランディングのただ一つの目的は、市場で自社商品を差別化し、消費者にこの商品は他と違う、他より優れている、特別である、と思わせること。


・差別化こそが重要である。同質化には意味がない。


・名前、期待、差別化-これがブランディングである。


・ブランドの再定義が何度も必要なもう一つの理由は、何か新しいことをすると、すぐにマネされることである。

・くり返すが、すべての始まりは戦略である。市場を支配するための戦略をまず立て、その戦略に沿った商品イメージを創る。


・最も重要なイメージは5つ 、5つのイメージをうまく組み合わせるとブランド全体のイメージが生まれる。

①商標イメージ   :ブランドの本質、核心
②商品イメージ   :商品の特性と直結
③関連イメージ   :ブランドの全体戦略に沿うか
④利用者イメージ :どんな人が好み、使っているか
⑤利用イメージ   :どのように消費されているか


・「消費者に何を約束するか」を正確に定めることは極めて重要だ。顧客に期待させることは、確実に果たせることにとどめるべきだ。

・競争市場で自分の守りたい領域を決めなければ、競争相手に無理やり決められてしまうだろう。


・競争相手のポジショニングをしかけるとは、市場のルールを決めることだ。それには優れた価値といったものを定義しなおすこと。

・競争相手のポジショニングとは、可能な限り競争相手をひとつの特質に押し込め、自分の特質を拡大すること。


・企業がすることは、すべてブランドに影響する。「あらゆることが伝わる」と肝に銘じておくように。




(浅沼 宏和)

2011年10月6日木曜日

書評-「すべては売るために」①

セルジオ・ジーマン著 『すべては売るために』海と月社、2010年


ジーマンはかつてコカ・コーラ社のトップであった著名マーケッターです。

本書は非常にドラッカー的であり、ドラッカー度数85%以上といってよいでしょう。

以下、印象的な内容をまとめていきます。


・マーケティングの目的はただ一つ。あなたの商品をできるだけ多くの人に、
できるだけたくさん、できるだけ何度も買ってもらい、できるだけ多くの利益をあげること

・商品を売るには、人々に欲しいと思ってもらわなければならない。
・マーケティングの効果は測定・検証しなければならない。それは「投資」となんら変わらない。

・マーケティング予算は、「どれだけ売上を伸ばせるか。そのために何をすべきか」を考えて決める。
・「買いたい」と思う人がいなければ意味がない。

・市場で商品のポジショニングをするのがマーケティングだ。
・「他とどう違い、どう優れ、どう特別なのか」を知らせる必要がある。

・結果重視のマーケティングなしに、新しい顧客を獲得することはできない。

・商品を買う理由を常に与え続けることを忘れてはならない。

・マーケターの最終目標は、会社の総資産利益率(ROA)を最大化することである。いいかえると、それ以上投資しても利益率があがらないところまで商品を売るということ。

・すぐれたマーケターは会社が生産できるものをすべて売る。航空会社はこれを「イールド・マネジメント」と呼ぶ。値引きをしてでもすべての座席を売り切るということ。

・目標を低く設定すると、みんながその暗示にかかる。

・計画の基本は、売るべき量を決め、そこに至るまでの現実的な方法を見つけ出すこと。

・商品を大量にさばくことは不可能ではない。無料同然にすればよい。世界中でどれだけ多くの企業が利益の出ない価格でモノを売っていることだろう。

・マーケティング活動の軸がぶれる最大の原因の一つは、求めている結果をうまく定義できないことだ。

・勝ちたければ、自制心、決断力、考え抜かれた脚本が必要だ。戦略を立てなければならない。


・ただやみくもに活動してもうまくいかない。売りたいと思うものを、買いたいと思ってもらうプロセスを、システマティックに計画し、実行しなければならない。戦略がすべて。

・効果が思ったほど上がらなければ状況に合わせて戦略を見直す。


・大切なのは、できるだけ多くの商品を、より高く買ってもらうにはどうすればよいかを常に考えること。

・マーケターであるあなた自身が明確な商品イメージを持つこと。


・共通の目的地を目指す一本の進路が必要だ。それが戦略だ。

・戦略は道路地図だ。目的地に到達するためにどんなルートをとればよいか示す。交通手段が戦術だ。


・戦略が決まったら自動的に戦術が決まるわけではない。多くの時間をかけて戦術を試し、検討し、練り直さなければならない。戦略はそのプロセスで指針となる。


・売上だけにとらわれているうちに、ブランドや商品サービスの質が落ちていくこともある。

・あらゆることについて考えよ。常に周りを見る。本当に起きていることを知る。一見別々のものごとのつながりを理解する。そして自分の意見を形成し、どんな行動をどのように取るかの基本にする。



(浅沼 宏和)

2011年10月5日水曜日

【トピックス】 確実に来る未来③

特集の続きです。予測力はさらに落ちていますので、面白そうな部分だけ抜粋します。


【産業の未来】

2011年~  空洞化を超えて資源立国へ

・日本の自動車市場は世界5位まで転落

・中小企業はこぞって海外移転

・マグロ・うなぎは激安食材に仲間入り

・食料自給率50%へ向上

・海洋資源で日本が一躍エネルギー大国になる

・エコカー需要が爆発

・燃料電池車がお手ごろになる

・レアアースは脱・中国で

・大豆、とうもろこしが不足する

・IFRS適用が始まる


2020年~  原発廃炉でもEVは売れる

・既存の原発が半減する

・太陽光発電が水力並みのシェアとなる

・新エネが蓄電池需要を生む

・携帯も車もコンセントいらずになる

・「ムーアの法則」が限界に達する

・超ハイビジョンで手術ができる


2025年~  縮まる「距離」が生活を変える

・東京-名古屋が通勤圏になる(リニア新幹線登場)

・毎秒100テラビットの情報が駆け巡る

・仕事の場所を選ばないテレワークが主流になる

・「家事ロボット」「ロボコップ」が主流になる

・資源権益競争の舞台は月面に移る

・日本が経常赤字国に転落

・世界で飲み水が枯渇


2030年~  地球環境危機を救う

・異常気象が食料、健康を脅かす

・南米アマゾンの熱帯雨林がサバンナ化する

・地球温暖化が経済成長を押し下げる


産業予測は変数が多数ありますので読み取りが難しいですね。

あくまで参考情報と理解しましょう。

それに比べると人口予測はやはり「すでに起きた未来」です。

高齢化、人口減少等の影響は常に頭において行動すべきでしょう。



(浅沼 宏和)

2011年10月4日火曜日

【トピックス】 確実に来る未来②

特集の続きです。

少子高齢化で負担増はさけられないが、苦境を乗り越えると世界の「課題先進国」としての明るい未来が訪れるとまとめています。

さて、どうでしょうか。


【財政問題】

2011年~  停滞要因

・今後はインフラの修繕すら滞る

・日本はゼロ成長国家となる

・日本の借金が2000兆円超となる(2035年)

・国の借金を家計で賄えなくなる

・2025年には社会保険給付がGDPの4分の1にまで増加(136兆円)


2015年~ 苦境要因

・年金は4割戻れば上出来

・将来不安の若者が貯蓄に走る

・消費が1%強減り続ける

・低成長でも金利は上昇

・中小飲食業に倒産が相次ぐ

・ガソリンや輸入食料が高騰

・日本は世界にとって「大きすぎてつぶせない国」になる

2020年~ 再生ポイント

・2020年に消費税は20%になっている

・2020年は法人税率0%になっている

・都市は「集積」し、地方は「集約」される

・サービス産業の雇用が増加

・高齢者消費で内需が復活

・自動車産業は国際分業(国内は高付加価値部品のみ)

・脱日本の企業に若者殺到


日本は巨額の公的債務がありますから、経済成長力が弱くなります。

金利急騰を避けながら成長軌道に乗せ、デフレを脱却することは容易ではありません。

もし、急激に金利が上昇すると多くの企業が倒産する事態になります。

うかつなかじ取りをするとギリシアの二の舞になりかねません。

ソフトランディングの手段としては増税程度しか手はありませんから、消費税は2015年までに10%、2020年には最低でも15%、金利次第では20%にする必要があるようです。


ということですが、人口予測に比べて論旨が弱いですね。仕方がないところではありますが。



(浅沼 宏和)

2011年10月3日月曜日

【トピックス】 確実に来る未来①

日経ビジネス2011.10.3号の特集は確実にくる未来というものでした。

ドラッカーは未来は予期できないがすでに起きた未来を探すことはできると言っています。

そして最も重要な変化は人口構成であると指摘しています。これは、ドラッカーが初めて指摘して以来、未来予測の最も基本的な視点として今に至っていると思います。

特集の内容を年代別にチェックしていきます。


【世界を変える4つの潮流】

① 中国・米国・インドが世界をリードする

② 2085年に世界人口は100億人を突破

③ 2050年に世界の覇権は中国とインドに

④ 食料とエネルギーの枯渇に勝機がある(世界需要の3分の2は途上国、中国が消費の2割)



【日本の人口減少の影響】

2011~2024年 人口の都市集中が進行。少ない子供を大切に育てる傾向

・東京の人口がピークに到達(1310万人)。10人に1人が東京在住。4人に1人が65歳以上

・年間死亡数が出生数の2倍になる

・3世帯のうち一つは1人暮らし

・65歳以上が30%を超える

・団塊世代が続々と75歳を迎える

2025~2034年 人口減少が本格化。女性の労働力に期待が高まる。

・全都道府県で人口減少が始まる

・都内で働く女性の数が1万2000人増加

・50歳男性の3人に1人が未婚

・男性の10人に1人は80代でも「現役」

2035~2039年 都市に元気なシニアが増大。地方では過疎化が深刻化。

・人口の3人に1人が高齢者(65歳以上)

・東京の年少人口は8%にまで低下

・秋田県の人口は3分の2になる

・長寿化で、首都圏が抱える75歳以上男女の数は約600万人になる

2040~2049年 ついに高齢者も減少。海外の活力に注目が集まる。

・死期を迎える人が増え、葬儀ビジネスが活況。

・3軒に1軒は空き屋になる

・2040年を境に高齢者も減少

2050~  80代男性、90代女性が当たり前の長寿大国になる

・人が暮らしていた国土の20%が無人化

・日本の人口が6400万人に半減

・日本人の平均年齢が55歳になる(2010年で45.1歳)

・有権者の平均年齢が60歳を超える

・女性の平均寿命は90.34歳に、男性は83.67歳になる

・出生数が2011年の半分になる

・100歳以上が63万4千人になる


人口が減る問題は最も確実に予測できる未来です。

特集記事では、まず女性の戦力化を進め、ついで高齢者の戦力化を進めるということが大切であると述べていますが、論理的帰結として適切でしょう。

そして、ここから読み取れる話として多くの地域から人がいなくなるという事実です。

過疎地域への支援も限界に近付いていると考えるべきということです。

数10年以内に地域から立ち退くという選択肢も視野に入れつつ、行動していくべきということでしょう。



(浅沼 宏和)

【トピックス】 日本を見捨てる富裕層

週刊ダイヤモンドの2011.10.8号で、日本の富裕層が海外に流出している件について特集がありました。

大筋の論旨は次の通りです。


急激な円高 ⇒企業の競争力低下・産業空洞化

⇒国力の低下 ⇒円安リスク

⇒財政破たんリスク ⇒国債暴落リスク・増税リスク

⇒震災・原発リスク ⇒健康リスク・不動産値下がり

ということで富裕層が海外に逃避するということです。


また、日本の場合

超富裕層(保有金融資産5億円以上)が6.1万世帯

富裕層(1億円~5億円未満)が84.2万世帯

準富裕層(5千万円~1億円)が271.1万世帯

アッパーマス層(3千万円~51千万円)が659.8万世帯

マス層(3千万未満)が3940万世帯

という構成になっているそうです。

国外金融機関のレポートによると、2010年の日本の富裕層は174万人で、着実に増加しているのだそうです。

しかも、日本は世界の富裕層人口1090万人の16%を占めるほどであるとのことです。

ただし、富裕層の9割が45歳以上であり、若年富裕層はほとんどいないとのことです。

富裕層が多くいる地域は主に関東だそうですが、福岡、静岡、岡山など、なぜか「岡」の字がつく健の比率が高いそうです。


マネジメント的視点からは国が富裕層の期待にこたえられていないということにつきます。


もしも、今後も政治セクターで意味ある打ち手が全く打たれない場合には、各人は生活防衛のために国外に移住する必要も視野に入れなければならないかもしれません。


(浅沼 宏和)

閑話休題-企業の生存率

先週、データエージェント社の月刊『近代中小企業』の別冊付録 「初めての事業計画書の作り方」の原稿を書き終えました。

先月は「運転資金編」を、当月は「創業資金編」を二カ月連続執筆しました。

創業資金編を書くに当たり、改めて統計資料を整理したところ、企業を取り巻く厳しい環境について改めて痛感しました。

会社の場合、創業後の生存率が

1年後が80%、5年後が約53%、10年後が約36%となっています。

つまり、10年で65%の会社が消えてしまうわけです。



これが個人事業になるともっと深刻です。

1年後の生存率が約63%、5年後が約26%、10年後が約12% にまで下がるのです。

つまり10年で9割の事業者が姿を消すのです。

これが事業の厳しさです。


私は今月刊行される創業資金編では

創業は基本的にはやめた方がよい。
もし、その危険を承知したうえで事業に踏み出す場合には、
せめてこの程度の事業計画書は作成できる程度には考え抜いてほしい。

と考えて多少きびし目な内容で書き上げました。編集部の趣旨とはちょっと違うかもしれませんが。


また、私はかねてより公的機関による創業支援には批判的です。

創業講座の受講生が10年後にどうなっているかを調べる必要があると思っています。

上記の数値と比べて良いか悪いかを調査しないと、みすみす失敗者を量産してしまうことになるからです。


(浅沼 宏和)

2011年10月2日日曜日

書評-仕事ができる社員できない社員

吉越浩一郎著 『仕事ができる社員、できない社員』 三笠書房、2011年   


原稿の締め切り等等に追われて、更新できない日が続きました。

当月から復活させます。


まず、手頃なビジネス・スキル向上本です。

だいたい、この手の本はドラッカーの「経営者の条件」の焼き直しが多く、後は事例の面白さでわかりやすさが加わるというタイプが多いです。


吉越氏は元・トリンプインターナショナルの社長で、退任後は人気ビジネス本作家に転身しています。

もともと面白いマネジメントをやられていた方ですが、私は吉越氏の最大のネタ本は「経営者の条件」と推測しています。

その意味ではドラッカー度80%コンサルタントの小宮一慶氏と近い主張です。


目次を見るとニュアンスが伝わりますね。

成果をあげるビジネスパーソンの特徴がそのまま目次になっていますので列挙します。

・勝ち負けにこだわる
・結果がすべてと考える
・あえて逆境に身を置く
・運、不運に捉われない

・損な役回りを買って出る
・いつか独立したいと考えている
・バカになれる

・楽観的
・無駄な体力を使わない
・始動が早い
・本をよく読む

・「なぜ、なぜ、なぜ」と考える
・整理がうまい

・走りながら考える
・初志を貫徹する
・決着をつけるのが早い
・一歩先を見て動く

・アイディアを形にできる
・感情をコントロールできる
・敵を敵のままにしておかない

・常に先手必勝
・締め切りを必ず守る
・仕事は教わるものではないと知っている

・集中するコツをつかんでいる
・難問も小さく分けて解く
・指示されたこと以上ができる

・周りの協力を得られる
・情報収集に熱心
・人脈がある

・人を上手に使える
・ヒトをおだてるのがうまい
・異性の社員に好かれる

・自分にも他人にも厳しい
・社風に染まる人
・一度決めたことは最後までやる
・自分の頭で考えられる

・何でも自分でやろうとする


などなどです。これでも全部ではありません。

半分以上の内容はほぼドラッカーと同じ意見ですね。

本書はチェックリスト的な理解でよいでしょう。


(浅沼宏和)